真空ポンプの修理を考える

まわりの大気より低い圧力の気体で充満している状態を「真空」と言いますが、真空ポンプとはどのようなものでしょうか。

 

真空ポンプとは、容器内を真空にするために、容器内部の空気やガスを容器の外に出して、大気圧より低い圧力にする機械のことを言います。

真空ポンプの使用例として代表的なものは、電気掃除機や布団の圧縮などがあります。これらは、内部の容器から外部へと気体を排出して、内部の圧力を下げて使用するものです。つまり真空ポンプが使用されているのです。

真空を使った製品は無数にあります。例えばめがねや時計、はさみなどの製品をつくるときには、真空ポンプを使用して、表面に薄い金属膜を作る必要があります。その他、魔法ビン、ドライフラワー、真空パック食品、鉄鋼、ステンレスなどの精錬、ワックスや潤滑油の製造など電子ポンプの用途は多岐にわたります。さらに高度のもので、電子顕微鏡、加速器、半導体、核融合、宇宙空間模擬室、レーザーなどにまで及んでいます。

 

そのためのメンテナンスは、複雑になってきます。代表的な修理を見てみましょう。

まず外部に油が漏れてくると言うものがあります。これはオイルシートの劣化など消耗部分の劣化がほとんどですから消耗部分の交換で改善されます。またポンプの排気口から白い煙が出てきてしまうと言ったものもあります。これは故障ではありません。油煙(オイルミスト)と呼ばれるもので、ポンプに取りこんだ気体を外部に排出するときに、内部の潤滑油がいっしょに排出されるもので、大気圧の段階から減圧するとき、その初期段階で煙が大量に出てきます。ポンプの作動により圧力が低下し真空近くに達すると自然に止まります。

 

ポンプから異常音が発生する場合は、ちょっとやっかいです。長い使用のための劣化ではなく、使用期間がまだわずかであるのなら原因を特定する必要があります。新しいため吸引圧力が高いのか、吸引物に腐食性ガスや水蒸気や粉などを吸引してしまった場合に発生します。これはポンプの故障ではなく、吸い込んだ物に原因があります。修理期間は通常の会社ならば10日から1か月を見ておけば良いでしょう。

 

メンテナンスの周期はやはり1年~2年が目安ですが、特に、オイルを交換しても真空圧に達するまでの時間が規定されている時間より長くなったり、オイルの汚れで「レベルゲージ」が変色したり、オイルを抜いた容器に錆の粉や水が混ざりだしたら「オーバーホール」(部品にまで分解、清掃・再組み立てで新品時の性能にまで戻す作業)が必要でしょう。