ターボ分子ポンプとは

真空を得る用途に用いられ、その為に容器内から気体を排出していくポンプである真空ポンプ。 吸気口と排気口とポンプから構成されているこの道具には現在様々な種類が存在しており、その内の1つが今回紹介するターボ分子ポンプになります。

 

ターボ分子ポンプは、金属製のタービン翼を持っている事をその特徴としており、複合分子ポンプとも呼ばれています。この油回転真空ポンプに使われている形式の1つである「ゲーデ型」のネーミング元で現代科学の父とも呼ばれているドイツの実験物理学者W.ゲーデによって1912年に起原となる分子ポンプが発明された後、1955年にドイツのW.ベッカー等によってその実用化が実現した事で完成した機械式真空ポンプとなっています。

高速回転する動翼のローターと静止したままの固定翼のステータという2種類の翼によって成り立っているこのポンプを使うメリットとしては、オイルフリーの超高真空が得られる事や気体分子を機械的に排気するダイナミック排気を行なう為に全ての気体に対して殆ど同じ排気速度を持っている事、ヘリウムを始めとした希ガスや腐食性ガスの排気に加えて大流量のガスを連続排気が出来る事、作動圧力領域が広い事等が挙げられます。

主な用途としては半導体製造装置や蒸着装置、スパッタ装置、分析装置、エッチング装置、加速器、FPD製造装置といった物があります。

前述の様に動翼のローターと固定翼のステータという2種類の翼から成り立っているターボ分子ポンプですが、動作原理は、この2種類の翼を交互に設けてローターを数万rpmに達する速さで高速回転させる事で気体分子を一方向に移動させて高真空まで排気する物となっています。

その排気原理は高真空側から飛来して動翼に入射してから離れる際に色々な方向に向かおうとする気体分子を翼の傾きと回転によって後段側の方向へ向かわせるのと同時に静翼を通過しやすい方向へと向かわせる物と後段側の方向から静翼を通過し逆行してきた気体分子を動翼に触れさせる事によって後段方向へ向かわせる物の2種類から成り立っています。

またローターの支持方式によって種類が分かれていて価格が手頃な物となっている代わりに取り付けられる方向が一方向に限られている油潤滑式の玉軸受型、ほとんどの物が取り付け方向に制限が無い変わりに保守面において問題点が多いグリス潤滑式、オイルフリーで取り付け方向の自由度が高い代わりにバッテリーが必要となる磁気浮上型の3種類が存在しています。